歯技協・東支部 第7回11月例会議事録
平成19年11月2日(金)
於:八重洲富士屋ホテル
出席者:15名
久しぶりに(株)サンデント・山本氏が参加。本部・支部からの義捐金の御礼があった。
現在も細かいひび割れにセメントを流す作業を続けている。
7時からのミニ研修会は、「訴訟を起こして技工士を守る会」代表・脇本氏を招いて
注目の裁判について伺った。

決 定 ・ 報 告 事 項

1.9/10 第3回本部理事会報告
 (1)総務事業 次世代経営者の会及びシニアの会への参加を募る文書が配布された。
 (2)10/20 本部主催のゴルフコンペ開催 東支部会員の出席はなし。
 (3)上海デンタルショー(11/8〜11)見学ツアー参加者は、西はなし、中は2名、東は4名。
 (4)11/18(日) PHP 石川尚子氏による「中堅社員コーチング研修会」の開催案内を郵送。


2.秋の経営研修会(10/13〜14)報告
 (1)技工料金のアンケートを東支部会員に協力いただいたが、
   Cr.はこの10年間若干下がり、義歯は若干上がっていた。
   しかし1〜2%の値幅。急な値上げは困難なので、部分的に値上げしていく方法もある。
   本音が出て参加者には有意義な経営研修会だった。
 (2)収支報告は、18万円の収入に対して18万4,600円の支出だったが、
   4,600円は支部経営予算より拠出する。


3.11/18(日)本部主催 社員向経営研修会について
 (1)10/29、事務局を下見にやらせたが、講師控え室がないため別途小会議室を確保した。
   現在121名研修会参加だが、懇親会は9名なので予定の30名に届かない。
   懇親会費を社員は5,000円にして多くの参加をお願いしたい。
 (2)再度、懇親会費の案内を含め、会員にFAXすること。


4.12/8(土)PM6:00〜8:00 忘年会について
 忘年会は、八重洲富士屋ホテル「赤松」で開催。
 サンデント復興祝いを兼ねて厄払い、須山歯研社長・会長就任祝いなど
 今年の集大成を忘年会とする。
 協議の結果、賛助会員も参加する。案内は11月中旬。


5.その他
 新入会員推薦書回覧  土田さんより新入会の推薦があった。
 (株)ベルザ 福岡正雄氏 参加者全員承認。入会申込書等手続きを取ること。


                                               以  上

11月例会風景

ミニ研修会
 11月ミニ研修会は、今年6月22日に『歯科技工の海外委託問題』について、国を相手に提訴した「訴訟を起こして歯科技工士を守る会」代表、脇本征男氏をお迎えしてご講演頂いた。この裁判は、日頃マスコミに掲載されたことでしか判断できないため、直接脇本氏に伺うことによって、問題の明確さと本質の理解を深めたいと思う。

 研修に先駆け、脇本氏から、「歯技協の皆さんは技工業界をリードする団体と認識している。本日、ここでお話できることは大変ありがたく光栄の極みである」との言葉があり、限られた時間のため本筋から話が始まった。
「訴訟を起こして歯科技工士を守る会」
代表、脇本征男氏

 昭和59年度から都技専務理事、副会長として10年ほど役職経験をさせて頂きました。
若い頃は、歯科技工業や歯科技工士の生き方について、生来の性格上自らの信念に忠実なあまり強行的過ぎて、会務でもしばしば行き違いから喧嘩らしい事もありました。
しかし、息子が20歳で大学に入学したばかりのころ、突然に重症と言われる難病を発症し、役職を退かざるを得ませんでした。現在は息子も快復し、元気でやっております。
 今、こうしてお話ができるようになったことが信じられない位、人生いろいろあります。
ただ、日技代議員は最も苦境の頃5〜6年休ませて頂きましたが、20数年は努めさせて頂きました。
 在任中から、昭和63年5月30日に公布された「大臣告示」の守られないことに疑問をもち、その内容、経緯の研究を始めておりました。これは、保険の仕事をしている歯科技工士にとって、国がはじめて技工経済の基盤として、その取り分を示した「告示」だったのです。自ら主張を展開し、行動しない限りこれを手中にすることはできません。
 法律的、経済的にも保障されている職業であるにも拘わらず、歯科技工士の基本的問題解決の時、常に決まって「歯科技工士の生業に関して明記されていない」であります。
 そんな折、仲間と二人で「海外委託を厚生労働省で許可を得た」というある業者のインターネットの資料を携え、厚生労働省歯科保健課へでかけました。そこでの対応は日刊スポーツ(2007.10.28〜11.01掲載)に詳細が掲載されております。日刊スポーツの記者は、今後裁判が進んで行く過程を追いかけることになっております。これが、海外委託問題に着手するきっかけとなりました。
 練馬支部から西部ブロックへと発展し、都技執行部に「遵法・歯科技工の海外委託問題対策本部」が設置され、メンバーは都技三役と私と大塚氏の5名、それに弁護士2名です。
 そして、ある業者の違法行為を刑事告発することに決定したのです。その間、何度か日技や都庁担当者とも協議会をもち打ち合わせを行いました。その限りでは「違法行為」であることはいずれも一貫して異存はないのです。
 平成17年3月11日、日技の仲介ということで古橋氏にご同道願い、メンバー全員で厚生労働省歯科保健課に出向き、違法業者の規制・取締り・指導を申し入れました。
 即答は得られず、その後3ヶ月経っても返事がないため、6月の都技代議員会総会において「即、刑事告発すべし」の決議を受けて、7月15日、警視庁に刑事告発したのです。
 警視庁には、原局である厚生労働省の正式見解がなければ受理できない旨伝えられ預かりということになったのです。
 その後、対策本部では様々な対策を講じ今後の展望等を含め説明会を開く等、活動を展開していた最中、9月8日、例の通達が発出されたのです。
 通達によれば、すべて歯科医師の高度な知見によって患者の了承を得、7項目を守れば良い。ということであり、歯科技工士法にはまったく触れられていません。
 この7項目については、国内、外にかかわらず歯科医師が免許を得るその時から、倫理として理解していなければいけないことであり、あらためて並べる必要もないことで厚生労働省は自らの責任を回避し歯科医師にすべてを責任転嫁したものと考えています。
 告発業者の在る都歯のある2支部の三役とも会い、通達の件を尋ねたところ、あくまでも個人的意見として「未承認材料の薬事法の規制がある。危惧を管理監督する義務があるにもかかわらず、歯科医師にその責任を転化している。歯科医師の立場では分析も何もできない。口腔内で人体臓器ともなりうるものを雑品、玩具はとんでもない」ということでした。そんな中、都技は理事会で10月30日をもって、「対策本部を解散する」との決定を告げられたのであります。理由は、予算がない。執行部と日技でやる。でした。
 納得いかず、ここできちんと対応しなければ歯科技工士は未来永劫浮かばれないと強く感じ、何をおいても司法に判断を委ねなければの決意を堅くしたのです。
 都技の一会員ではあるが、まず弁護士選定に始まり、自分のグループの啓発から広く全国の賛同者に人づてで広まり、原告も80人揃えることができ平成19年6月22日、国を提訴し正式受理されました。内容はご承知の通り、国家資格者つまり免許者の地位保全と損害賠償です。
 8月30日、第一回公判の冒頭陳述では、違法性が一つひとつの技工の仕事に反映されていることが分かっていただけていないことと、実生活の厳しさを訴えました。
国の答弁書では、我々には訴訟を起こす権利もない、損害賠償の争訟の資格もないということです。まさに非理屈を並べ立てているに過ぎず、用意した準備書面ではきちんと理論立てて、正面から堂々と戦って参ります。
 10月25日の第2回公判では文書の提出と、次回公判の日程を取り決めただけでした。
 公判後弁護士会館で報告会を一時間ほど行いました。
 第三回公判は12月18日(火)午後1時45分から東京地裁606号法廷です。
 そもそも歯科医師の裁量ですべてを賄っていた時代から脱却しなければなりません。現在は歯科技工士法成立(昭和30年)当時の時代ではありません。当時、戦後10年ほど経過しそろそろ歯科の需要がますます増える中、とてもそれに応えられるほどの業界状態ではなかった。そこで歯科技工を切り離し、専門職をつくり免許制度をしき、技工の部分は歯科技工士に一任し委ねるということにしたのです。同時に養成機関も徐々に増え、歯科技工士の数も増え、歯科医師はその分治療に専念できるようになると共に、身体的にも楽になり、寿命も伸びてきた事は歴史的事実であります。事実昭和56年度からは、歯科医師国家試験の捕綴部門の実技試験が廃止されております。少なくてもそれ以降は補綴部門は殆どが歯科技工士に委ねられていると考えても間違いありません。
 今回の裁判では現実の問題を訴えて行く。技工界の現状を法に基づいて訴えていきます。
 海外といっても東南アジア、アメリカ、ヨーロッパもある。それらから未承認材料を個人輸入する医師の裁量権は、あくまでも自ら治療している特定患者に使用することに限られております。つまり歯科医療の一環としてのみであります。
 この裁判で戦う第一義は、国民がどういう被害を受ける可能性があるか、法に基づき社会悪を明らかにしたいのです。週刊朝日2007年9月14日号は、“中国の毒”を取り上げ、この問題にも言及して頂きました。ニッケルクロム合金は、技工操作において粉塵が体内に入り有害性が有ることは常識です。合成される成分においては尚更のことです。
 しかし、上海では95%がニッケル合金使用の鋳造床だという。このように、現在、海外製作の補綴物に関するいろんな情報を収集しています。
 この裁判を通して、歯科技工士が冷たくあしらわれていることが明らかになりました。そのためにも絶対に裁判では勝たなければならない。歯科医療の原則はスタッフの信頼関係であります。厚生労働省の通達は歯科医療スタッフの信頼を裏切り、円滑な関係を損なうものであり、強いては国民の法益を侵すものです。
 このような基本的な人権問題にも関わる重大問題を日技は戦ってこなかった。国の管轄下にあり法人だからできなかったのかもしれない。7月5日、日歯に趣旨説明に伺い一時間ほど話をしてきました。「たいへんだなぁ、規制緩和の犠牲にされたんだよ」と言われた。
 内では規制で締め付け、外には違法を緩和では国民のためにある法律は何のためだろう。
 7月11日、日技に伺った。古橋氏、時見氏に会い説明しました。その時は「目指す方向性は一緒なので頑張って下さい」である。日技会員として二十数年間代議員会で主張してきた者に対してである。「邪魔だけはしないでください」と言って帰ってきました。
 私たちは神輿を挙げた以上、川上弁護士と運命共同体で取り組んでまいります。先生の懸命さには頭が下がる想いで、感謝しております。
 歯技協の皆様には、情報の収集にもご協力いただきたい。(出席者の同意を得、前年度特別委員会資料提供) 海外発注業者や海外作製の技工物等、どんなことでもいいです。
 証拠が必要です。私たちの提訴にご賛同頂ける方にもご署名のお願いをいたします。
 裁判はまだまだ続きます。軍資金のカンパもお願いいたします。
 以上、提訴の意義と裁判の経過報告を皆様にお話し、歯科技工士を職としての正当な権利、明確な職業の位置付け、国民の健康を侵害する海外委託技工物規制等、この裁判に勝てるようがんばります。皆様方のより一層のご支援ご協力をお願いいたします。
 取り留めのないお話で申し訳ありません。ありがとうございました。